本当の豊かさとは? 書評 『年収100万円の豊かな節約生活術』 山崎寿人 著
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東大を卒業後、有名企業に就職、バリバリのビジネスマンだった著者の山崎さん。
しかし30歳を迎えたころ、自分の笑顔がひきつって、ひどく不自然になっていることに気づいて愕然とし、退職を決意。
(忙しさのあまり、心から笑えなくなってたんですね)
以来20年以上、定職に就かず、
悠々自適の隠居生活を決め込んでいるという、著者の人生に興味を持ったので、読んでみました!
月の生活費は3万円!
『つまり「生活の豊かさや快適さと節約のバランスをいかにとるか」を考え、様々な知恵を絞っている時間それ自体が、僕にとっては何より楽しく豊かな時間なのだ。』
―文庫版 39P より引用
著者の山崎さんは、あくまで自分の意思でこの生活を選び、続けているというのが、まあ、この本最大のポイントですね。
「貧乏」というより「清貧」的な?
隠者の生活ですか。
そういう意味では、単純に「節約術」という点で言うと、本当に困ってる人の参考にはならないかな~。
でも、この予算からはイメージできない、豊かな食生活は必見!
一日の食費500円で、
「本格派 四川風激辛麻婆豆腐」(予算 一人前 162円)や
「北インド風 バターチキンカレー&自家製ナン」(二人前 312円)など、充実の食卓というからすごい!
(本にはレシピも載ってます↑)
この得意の料理でホームパーティーを開いて、大好きな飲み会を安く楽しみつつ、プータロー生活にありがちな孤独も回避!と、良いことづくめ。
やっぱりねー、節約生活に料理の腕前は必須ですね(´・∀・`)
秘密は初期投資
「節約術」とタイトルについているにも関わらず、この本を読むと、ほしいものが増えますw
「月3万円」の予算でも豊かに暮らす秘訣は、充実の初期投資にあったんですよ!
やっぱり、趣味の料理に関するものが多いんですが、
「ホームベーカリー」でピザ生地を捏ね、「家庭用ピッツァ焼き窯」で焼き上げてみたり、
玄米を大量買いすることで米代を抑えつつ、「精米機」で精米仕立てを土鍋で炊いて、いつでも美味しいご飯を食べてみたり。
毎日の買い物を安く済ませつつ、充実の食卓を実現するためには、こういった初期投資が大事だったわけですよ!
他にも、医療費対策に「口腔洗浄器」やらフッ素入りの歯磨き粉を常用で虫歯を防いだり、
「ヨーグルトメーカー」で毎日格安に腸内環境を整えたりと、健康対策も初期投資がキモ。
もうね、「口腔洗浄器」は買いますよ、わたしw
「ホームベーカリー」も、ぜんぜん興味なかったけど、すっごい欲しくなっちゃったし!
(パンの他にピザ生地やパスタ・うどんまで知らなかった!)
健康対策に常用しているという「アホエンオイル」にも興味深々。。。
ヤバイわ!
丁寧に暮らす
そしてやはり、この本に書かれている生活で一番羨ましいのは、
手間暇かけて丁寧に、自由に暮らしているところでしょうか。
日々の家事の合間に思索にふけり、
心のおもむくままに散歩したり読書したり。
著者のある日の行動を載せたページには、所々【空白】という時間があるんですが、
『この日四度ある【空白】をどう説明したものだろう。見渡す限りの野原に脳ミソを放しっぱなしにして、好き勝手にさせる、いわば“脳ミソの自由時間”とでも言うべきか。思索、瞑想、妄想、何も考えない……何でもありなのだが、何か目に見えるような行為行動をしているわけではないので、【空白】としか表現できなかったというわけだ。』―文庫版 16P より引用
脳ミソを放しっぱなし。。。いい表現ですね~。
こういう、傍から見れば「ボーっとしてる」だけの時間っていうのは、けっこう大事だとわたしは思うんですよ!
そして、この“脳ミソの自由時間”をしっかり確保するというのは
なかなか難しいんですよね。。。
この忙しい現代、ここまで自分の「精神活動」を大事に、集中して過ごす時間があるというのは、逆に贅沢なことですよね~。
まとめ
全体に節約術というよりは、ひとつの人生哲学の本、という感じ。
(現実的に言えば、貧乏というものはだいたい暇なしなもんですからねw)
でも、準備期間や多少の蓄えがある定年間近の人とか、体調の問題などで休職の予定がある人なんかには、結構参考になることがあると思います。
年金生活に不安がある人も、これを読めば定年が楽しみになるかも!?
そして逆に、毎日バリバリ働いて収入があるにも関わらず幸福感がない、という人が読むと、パラダイムシフトを感じられるのかも。
価値観は人それぞれ、本当の「贅沢」とは何か?
そんなことを考えてしまいますね。おすすめです!
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