三大奇書を読んで
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- 小説・エッセイ感想
「奇書」と言われるだけあって、
かなり読み辛く、手強かったですが。。。
それを乗り越えた甲斐はありました!
というわけで、以下に感想などを。
『黒死館殺人事件』
ボスフォラス以東にただひとつしかないという降矢木家のケルト・ルネサンス式[8]の大城館、かつて黒死病の死者を詰め込んだ城館に似ていると嘲られたのがその名の由来である通称「黒死館」にて、門外不出の弦楽四重奏団のひとり、ダンネベルク夫人が毒殺され、当局は例によって、素人探偵、法水麟太郎に出馬を要請する。
引用元:黒死館殺人事件 - Wikipedia
三作の中で、一番ミステリーらしい形のストーリーでしたね。
雰囲気満点の妖しい城で繰り返される連続殺人!
亡き妻をかたどって造られた自動人形が闊歩し、閉じ込められた異国の孤児たちが音楽を奏でる。。。
この、『黒死館』という舞台が素敵すぎる!
ただ、文章の難解さもダントツ。。。
この探偵・法水がまた、キザというか天然インテリでイラッとくるしw
法水が詩の引用で尋問すれば、
容疑者もオペラの引用で答え、
横で聞いてた警部も文学の引用で感想を言う、
みたいな。
誰か突っ込めよ!
と言いたくなる(笑
でもまあ、そういうところも雰囲気を盛り上げてて良かったです!
『虚無への供物』
氷沼家を舞台として繰り広げられる奇妙な殺人事件。その現場に居合わせた主人公たちが推理合戦を交わすが、推理は衒学趣味の様態を呈し、いよいよ混迷へと陥っていく。
引用元:虚無への供物 - Wikipedia
「アンチ・ミステリー」と言われるだけあって、全編にわたって素人探偵達の無力さを見せつけていく展開(笑
最後、狂気の犯人の独白には
ゾッとしつつも何かしらの真実が含まれていて、
何ともいえない読後感。
でも、個人的に一番面白かったのは
「あとがき」。
この著者・中井英夫って人はすごい変わった人みたいで、もう興味が止まらない!
というわけで、中井英夫エッセイ
『ケンタウルスの嘆き』も買ってしまった(^o^)
これも楽しみ〜!
『ドグラ・マグラ』
大正15年頃、九州帝国大学医学部精神病科の独房に閉じ込められた、記憶喪失中の若き精神病患者の物語(と思われる)であり、「私」という一人称で語られていく。彼は過去に発生した複数の事件と何らかの関わりを有しており、物語が進むにつれて、謎に包まれた一連の事件の真犯人・動機・犯行手口などが次第に明かされていく。
引用元:ドグラ・マグラ - Wikipedia
これはもう、出だしから飛ばしてます(笑
『巻頭歌
胎児よ
胎児よ
何故躍る
母親の心がわかって
おそろしいのか』
これにグッとくる人なら、断然お勧め!
なんと言っても、話の中心人物である心理学者・正木教授の存在感がハンパない!
創作の人物という枠を乗り越えてくるような迫力。。。
こんな怪人物を作り出すなんて、
さすが夢野久作!
呪われた絵巻物や、人形のように美しい、狂った少女、精神医学界をひっくり返す世紀の大実験。。。舞台設定も完璧です。
読むと精神に異常を来す、とまでいわれる作品ですが、
難解というわけではなく、何というか。。。
この正木教授の言説をしみじみ聞いてると、
自分のアタマだけはまともだ、
という信念が揺らぐ。。。
そんな感じですかね。
まとめ
一番好きなのはどれか?といえば、
「ドグラ・マグラ」ですかね〜。
完全に好みの問題ですがww
どれも「ミステリー」としては変わり種ですが、この全体に漂う妖しい空気は
正に「和製ミステリー」!という感じ。
秋の夜長にピッタリの三冊、
チャレンジしてみては?
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