元ひきこもりが読む『ひきこもりはなぜ「治る」のか?』斎藤 環 著 書評

元ひきこもりとして、
ひきこもりの情報が気になるマユ〜。(@mayuu_pp)です。

わたし自身は、とうとうカウンセリングのようなものを受けずにひきこもりを脱しましたが、
どういう感じでひきこもりの「治療」というものが行われているのか?

気になったので、読んでみました。

この本は
精神科の臨床医として20年以上、
ひきこもり問題に向き合ってきた
著者の斎藤先生が、
治療にあたって実践している
「考え方」について、理論を中心にして語った本です。

ラカン理論で見るひきこもり

ラカンの理論は、ひきこもりの「家族間」の問題について考えるのに適していると言います。

ひきこもり状態にある人は、家族と
「鏡像段階」という
「自分」と「鏡に映った自分」のような
親密すぎる関係に陥ってしまうことで、
どんどん自分を見失っていく、というような話です。

家庭内暴力のような凶暴性が出てくるのも、
「家族が『鏡像』(自分の妄想を反射するもの)になってしまった」せいで起こるのではないか?と。

それを防ぐには、
「家族が『他者』として振る舞う」
ことが必要。

結局、家族がお互いに気を使い合ったり
疑心暗鬼になったりして、
対話がなくなってしまうのが問題なので、

「ちゃんとした『会話』を成立させる」

ことから、
「個人対個人」の関係を作っていくことが
大事だということです。

この考えから、実際の「他者」である
治療者や友人などが関わって来ることが
ひきこもりの治療には大きな意味があるとして、
積極的に取り入れているそうです。

コフート理論で見るひきこもり

そしてコフートは、
「自己愛」についての理論を作り上げた人で、
しばしば取り沙汰される
「ひきこもりの過剰なプライドの高さ」
について理解するのに向いているといいます。

「自信とプライド」の違い、というのは
よく言われますが、
この問題がひきこもりの人には特に大きく影響していると。

コフートは、人間は一生をかけて「自己愛」を成熟させていく、と考えていたそうです。

人間は他者との関わりから、
「人格」を学習していく。

「自己愛」=「自信とプライド」のバランスを取るためには、
他者からのフィードバックが必要不可欠で、
他者との関わりがなくなってしまった
ひきこもりの人がずっと不安定なのは
そのせいだということです。

ひきこもりの人は、到底実現不可能な
将来の夢を本気で語ったりすることがありますが、これも「自己愛」が成長せず、過大になっているせいだと。

しかし、こういう「過大な自己愛」が出てきた時には、
頭ごなしに否定せずに、とりあえず受け止めてあげるのが大事だとか。

斎藤さんも実際に
「外国の軍隊に入りたい」という
ひきこもりの人を治療した時に、
とりあえず英語の勉強と、体を鍛えることを勧めたといいます。

そして、実際に英会話スクールなどに通い始めたことから
ひきこもりの状態が改善したとか。

とにかく、どんなに未熟に見えても
「自発性」を大切にする。
そして実際に動き、他者と関わることで、
自然と「自信とプライド」のアンバランスさが消えていくのだそうです。

家族や治療者の心得

こういった精神医学の考えかたをふまえて、
実際に家族や治療者はどう向き合っていったらいいのか?
ということも、詳しく書かれています。

大事なのは

・治療者や家族の希望を押し付けない
・治療者や家族自身がちゃんと楽しみを持って安定した心を保つ

ということ。

ひきこもりの人にかかりきりにならず、
まずは自分たちがちゃんと自分の理想に沿って生きようとすることの方が大事だと。

家庭や治療者という、自分を支えてくれる「土台」が安定していなければ、
ひきこもりの人はそこから飛び立つことかできない、
というのは納得ですね。

あとは、とにかく対話をする、
「言葉」でコミュニケーションをとるのが絶対に必要!ということです。

何となく通じるから、といって
言葉を省くと、どんどんお互いの人格が退化していくんだそう。怖い話です。。。

まとめ

と、こんな感じで。

わたし自身もひきこもりだった訳ですが、

これがわたしのプロフィール。18年の引きこもりの後、働き始めて8年経ちました。

この本は「その周りの人」向けに書かれた本なので、
「あー、外からはこういう風に見えてるんだ」
という発見があって、興味深かったです。

「ひきこもりというのは、精神疾患として見れば軽い部類なので、現状維持でもよい。
むしろ余計な「治療」「アドバイス」で
害をなさないように気を付けるべき」

という斎藤先生の主張は、かなり突き抜けてますがw

実際わたしの場合も、振り返ってみると

「放り出さず、放っておいてもらった」

というのが一番良かったと思うので、

こういう方針で書かれた本は
現在身内のひきこもりで悩んでいる人にはすごく参考になると思いますよ。

「ひきこもり」に至るのには
人によって様々な理由があると思うんですが、
そういう「原因」は置いておいて、

まず「現状を少しでも良くする」
「これからのことを考える」

というスタイルも良いなぁ、と
思いました。

オススメです!

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